5. 実験結果 - RISの光学特性
RISの反射効率を評価するために、まず波長532 nmのレーザー光の反射光の強度の測定を行いました。反射高強度はガイド鏡の ICCDカメラの画像から測定し、星の画像と比較することによって絶対的な強度を求めました。出力0.3 ワット、ビーム拡がり 0.3 ミリラジアンのレーザーを用いた場合の RISからの反射は星の明るさの等級で2-3に相当しました。
また、反射光の強度の測定値からRISの反射率を求め理論値と比較しました。Figure 5-1 に結果を示します。左側が反射効率の測定値、右が理論値です。それぞれ衛星のパス毎の反射効率の変化を示しています。測定値は雲などの大気の状態や追尾の誤差の影響を受けていますが、最大値で比較すると軌道上のRISの反射効率が理論値と良く合っていることがわかります。


Fig. 5-1 波長 532 nm におけるRIS の反射効率の測定値と理論値
波長10ミクロンにおける反射光強度の評価はパルス炭酸ガスレーザーを用いて行いました。Figure 5-2 は送信レーザー光のパルス波形と受信光の波形の一例を示したものです。レーザーは吸収測定用と参照用の2台があり、200マイクロ秒の時間間隔で2つのパルスが発射されます。従って、レーザーのショット毎に4つの波形が記録されます。レーザーの出力はそれぞれ約100ミリジュール、繰り返しは毎秒 50 回です。

Fig. 5-2 炭酸ガスレーザーの送信パルス波形と受信波形の一例
Fig. 5-2 に見られるように、RIS からの反射が高い信号対雑音比 (SN比) で測定されました。RIS からの反射光強度の評価は、地上のタワーに設置した小型のリフレクターからの反射光強度と比較することによって行いました。光学系の効率や電気的なゲインをスケーリングすることによって絶対値を比較し、10ミクロンにおいてもRISの反射率が設計値と良く一致することを確認しました。
6. 実験結果 - RISによる分光測定
7. 実験結果 - RISのレーザー測距によるADEOSの軌道決定
8. 今後の展望
9. 成果発表リスト
1. RIS 実験の概要
2. ADEOS搭載RIS
3. RIS実験地上システム
4. 実験結果 - RISの能動追尾
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