RIS Retroreflector in Space
RISと観測の概要(当初計画版)
RIS(Retroreflector in Space)は、有効開口径50cmの単一素子のコーナーキューブ・レトロリフレクターです。RISは、レーザー光を送受信する機能を持つ地上局から、レーザービームを送信し、RISによる反射光を受信することによって往復の光路内にある大気中の微量成分の吸収スペクトルを測定します。この手法は地上衛星間レーザー長光路吸収法と呼ばれています。
コーナーキューブリフレクターは通常、直角に貼り合わせた3枚の鏡で構成され、入射するレーザービームを正確に逆方向に反射する特性を持っています。しかし、衛星搭載レトロリフレクターの場合は、衛星は高速で進行することによる光行差と呼ばれる現象によって反射ビーム方向にずれが生じます。そこで、RISでは鏡面の1つに僅かな曲率の球面を用いて反射ビームを広げて、地上局で効率よく反射ビームが受信できるように設計されています。
RISを用いた観測は、ADEOSが地上局の上空を通過する際に行われます。東京の地上局の場合、図に示した領域内の地上パスをADEOSが通過する場合に観測が可能です。昼の観測ではADEOSは北から南に、夜は南から北に通過します。観測の頻度は昼夜合わせて1日に1回程度です。1回の観測時間は約200秒です。
RIS測定に用いる地上局は、衛星追尾装置と分光測定用レーザー送受信装置から構成されます。精密な追尾を行うため高調波YAGレーザーをRISに照射し、反射光を画像として捉える能動的手法を用います。また、分光測定には、単一モードのTEA−CO2レーザーとその高調波を用いて、オゾンとメタンの高度分布、CFC12、HNO3、COなどのカラム濃度を測定します。

Structure of RIS

Observing technique of RIS
and Position of ADEOS when the RIS experiment is performed in TOKYO
国立環境研究所では、通信総合研究所と共同で東京都小金井市の地上局から大気微量分子の観測を実施しています。この他、他の地上局からRISを用いる実験も行われる計画です。また、ADEOSの高精度の軌道予測、軌道決定のために、世界各地の衛星レーザー測距局の協力を得ています。
ADEOS搭載RIS
地上設備と大気微量分子の測定(当初計画版)
RISデータとデータの配布(当初計画版)
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