ドップラーライダー



 風に乗って運動する散乱体からの散乱光の周波数のドップラーシフトを測定することによって風向風速を測定するライダー手法である10)。ヘテロダイン検波を用いて周波数シフトを測定する方法はコヒーレント方式と呼ばれ、エタロンなどを使って周波数シフトを測定する方法はインコヒーレント方式と呼ばれる。対流圏の風の測定では主にコヒーレント方式が用いられる。成層圏の風の測定では、散乱がスペクトル幅の広いレイリー散乱で、レーザー波長も短いため、インコヒーレント方式が用いられる。

 コヒーレント方式では、従来、炭酸ガスレーザー(10μm)が用いられてきたが、最近は2μm帯の固体レーザーを用いたシステムの開発が盛んに行われている。波長が短いほどミー散乱の後方散乱係数が大きい利点があるが、大気の揺らぎの影響を受けやすい欠点もある。このため、ヘテロダインアレイの利用も検討されている27)

インコヒーレント方式では,エタロンを用いてドップラーシフトを測定する方法28, 29)や、鋭いスペクトルの立ち上がりを持つエッジフィルターのエッジを用いてシフトを検出する方法30)がある。

文献
10) R. M. Huffaker: Appl. Opt. 9 (1970) 1026.
28) A. Garnier and M.L. Chanin: Appl. Phys. B55, 35 (1992).
29) C.L. Korb, B.M. Gentry, and C.Y. Weng: Appl. Opt. 31, 4202 (1992).
30) D.W.Machuga, T.J.Kane, and C.R. Philbrick: Proc. Combined Optical-Microwave Earth and Atmosphere Sensing, Albuquerque, NM (1993).



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