島根県松江市におけるライダー観測

本ページでは環境省が北東アジア地域における黄砂モニタリングネットワーク構築の一環として島根県下に設置したライダーによる観測結果のクイックルック表示画像を紹介します。

ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)は、レーザー光線を上空に発射し、粒子状物質等で散乱され返ってくる光を測定・解析することにより、上空に浮遊する粒子状物質の鉛直分布を観測する装置です。松江に設置されたライダーは国立環境研究所が開発したもので、2波長(532nmと1064nm)のレーザーを用いて散乱信号を測定する他、532nmでは散乱の偏光特性も測定します。 ライダーの設置場所は島根県保健環境科学研究所(133.01E, 35.48N)です。(ライダーの詳細と写真)

現在、国立環境研究所ではエアロゾルの環境影響、気候影響に関する研究活動の一環として、大学、他研究機関と協力して、このようなライダーによる観測を日本、中国、韓国、モンゴル等で行っています。日本では、つくば(国立環境研究所)、富山(富山県環境科学センター)、札幌(北海道大学)、長崎(長崎県衛生公害研究所)、福江島(総合地球環境学研究所)、沖縄県辺戸岬(国立環境研究所)、新潟(日本環境衛生センター・酸性雨研究センター)、仙台(東北大学)、千葉(千葉大学)、東京(環境省)、大阪(近畿大学)、中国では、北京(日中友好環境保全センター)、合肥(安徽光学精密機械研究所)、沙坡頭(中国科学院寒区旱区環境研究所、情報通信研究機構)、韓国では、Suwon(Kyung Hee 大学)、Seoul (ソウル大学)、モンゴルでは、Ulaanbaatar、Sainshand、Zamyn uud(いずれもモンゴル気象水門環境監視庁)、また、タイのPhimai(2005年春にSri Samrongから移設)(Chulalongkorn大学、東京大学気候システム研究センター、千葉大学)で連続観測中です。これらの観測データは、国立環境研究所のホームページ(URL:http://www-lidar.nies.go.jp/)で閲覧が可能です(北京、Suwonは黄砂シーズン(3-5月)のみ公開。合肥、沙坡頭は現在データを公開していません)。

クイックルック表示画像の読み方

下の図は現在のライダー観測データを表示しています。3枚の画像がありますが、いずれも縦軸は高度、横軸は時間です。時間は UTC(世界標準時)で表示してあります。(UTCの0:00は日本時間の午前9:00です。)現在までの5日分のデータが表示されています。

一番上の図は、距離補正信号強度のプロットで、散乱強度を示しています。散乱の非常に強い部分(赤い部分)は雲の散乱です。青から黄緑の部分が粒子状物質(エアロゾル)による散乱です。地上から高度1- 2 kmの大気境界層には、エアロゾルが多く分布することなどが分かります。

2番目の図は、偏光解消度を表示しています。これは散乱体の非球形性を表す指標で、黄砂のような非球形粒子では大きな値(0.1 以上)を示します。また、雲についても、氷雲は非常に大きな偏光解消度を示しますが、水雲は小さな値を示します。一番上の信号強度のプロットと合せてみることによって、散乱体が黄砂であるか球形のエアロゾル(主に大気汚染性のもの)であるか、水雲であるか氷雲であるかの判別ができます。

3番目の図は、1064nmの散乱強度を532nmの散乱強度で割ったものをプロットしています。この値は、通常大きな粒子ほど大きな値を示します。従って、黄砂はやや大きな値を示し、雲はさらに大きな値を示します。


高度3km以下の拡大版

詳細な解析では、偏光解消度を用いて、混合したエアロゾルのなかの黄砂の濃度(消散係数)を定量的に推定したり、偏光解消度と2波長の比を組み合わせてエアロゾルの種類を分類することが可能です。本ページで示すクイックルック表示画像は、現在の観測状況を把握することを目的に自動処理したものです。データの利用については別途お問い合わせください。

データ利用等に関する連絡先: 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 遠隔計測研究室室長 杉本伸夫, E-mail: nsugimot@nies.go.jp

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