黄砂の健康影響について


 黄砂による健康影響を明らかにするため、日本や韓国などで多くの調査研究が実施されており、最近では人の健康影響との関連を示す結果が報告されています。黄砂飛来と、呼吸器や循環器に係る疾患の症状の悪化、入院患者数や医療機関受診者数の増加などとの関連が指摘されています。


気をつけた方がいい人って?

 呼吸器や循環器に疾患をお持ちの方、アレルギー疾患をお持ちの方、小児、高齢者が、影響を受けやすいのではないかと考えられています。

 実際に松江の小学生の調査では、ぜんそくのある児で黄砂時の呼吸機能の低下が強いことが報告されています1)。また、京都・富山・鳥取の妊婦の調査では、花粉症のある方で黄砂時のアレルギー症状の悪化が強いことが報告されています(右図)2)



黄砂の影響を受けているか、どうしたら分かるの?

 ご自身の日々のご体調の変化を、黄砂の濃度の変化と照らし合わせてみてください。

 なお、黄砂の影響は飛来当日から数日後まで見られることが多い様子です。


どれくらいの濃度から気をつけたらいいの?

 日本で実施された調査の結果からは、「閾値」と呼ばれる、この濃度を超えると健康影響が顕著に出てくるといった濃度は報告されていません。低い濃度でも、それなりに影響があるという結果になっています。たとえば妊婦のアレルギー症状をみた調査では、春・秋の半分くらいの日で見られる濃度(12時間平均値で0.01/km)から既に影響がみられていました(右図)2)

 黄砂の影響を受けているように感じられる方は、ご自身のその日のご体調と相談しながら対策を考えられるのがよいのではないかと思われます。


どんな対策があるの?


・不要不急の外出や屋外での運動を避ける

 黄砂が飛来している時は、不要不急の外出を控えることで吸入量を減らすことが期待できます。妊婦のアレルギー症状をみた調査では、屋外にいる時間が長かった方ほど影響が強くみられていました(下図)2)

 また、運動をすると換気量の増加から吸入量が増えることが考えられます。高濃度の黄砂が飛来しているときには、マラソンのような呼吸器系への負担が長時間続くような屋外での長時間の激しい運動は避けましょう。


・外出時のマスク着用

 黄砂が飛来している時は、一般用マスク(不織布マスク等)を着用することで、黄砂に対するある程度の吸入予防効果が期待できますが、マスクによって吸入防止性能は異なります。医療用や産業用のマスクは、微粒子の捕集効率の高いフィルターを使っており、黄砂やPM2.5等の微粒子の吸入を大幅に減らすことができます。

 ただし、マスクを着用する場合には顔の大きさに合ったものを選び、空気が漏れないように着用しなければ十分な効果が期待できません。自分の顔にあった形状、サイズのマスクをきちんと着用しましょう。一方、医療用や産業用のマスクは、着用すると少し息苦しい感じがあるので、長時間の使用には向いていません。    


・屋内での換気や窓の開閉と空気清浄機の使用

 換気は大事ですが、高濃度の黄砂が飛来しているときには、窓の開閉や換気を必要最小限にすることにより、居住者の吸入量を減らすことが期待できます。

 黄砂及びPM2.5に対する空気清浄機の除去効果は、フィルターの有無や性能など機種によって異なると考えられるため、製品表示等を確認しましょう(PM2.5に関して、一部製品については、メーカーにおいて性能試験により一定の有効性が確認されています)。また、定期的にフィルターの清掃・交換を行う必要があります。



 黄砂の飛来状況は、環境省ホームページで公開しています。

黄砂の予測も、気象庁あるいは様々な研究機関が公開しています。

http://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/