共鳴散乱・共鳴蛍光ライダー



 共鳴散乱,共鳴蛍光はレーザー光の波長が分子あるいは原子の吸収線波長と一致する場合に観測される。これらは現象としてよく似ているが、前者は2光子過程で後者は2つの一光子過程が連続して起るものである。

 共鳴散乱ライダーは高度100km付近の中間圏の金属原子層の観測手法として有効である。この場合は,レーザー波長が原子の吸収線に同調する必要があるため、YAGレーザーやエキシマーレーザーで励起した色素レーザーなどが用いられる。波長は、Na、K、Ca+、Feの場合、それぞれ、589.0nm、769.9nm、393.4nm、372.0nmである25)。また、共鳴散乱(蛍光)のドップラー幅を利用して気温を測定する手法26)や、ドップラーシフトを利用して風速を測定する手法も開発されている。

共鳴蛍光は大気圧中では分子の衝突による消光のため効率が低く、低層大気の微量分子の測定に用いることは難しい。

文献
25) C.S. Gardner, T.J. Kane, D.C. Senft, J. Qian, and G.C. Papen: J. Geophys. Res. 98, D9, 16865 (1993).



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